こんにちは、m_yossieです。このブログでは、独学で医学部再受験を頑張っている方に役立つ情報を発信していきます。
島根大学編入試験の解説と対策をお願いします。
前回の記事から島根大学編入試験の過去問解説を始めました。
私は医者の家系に生まれた訳ではなく、母子家庭育ち、母は高卒です。高校生の頃から医学部に憧れていましたが、2浪しても合格できず、基礎研究の道に進み、医師の夢からは遠ざかっていました。
しかし、30を前に一念発起して医学部再受験の勉強を始め、独学で国立大学医学部の編入試験に合格しました。現在、内科医として日々臨床を行っています。
また、医学部専門予備校で講師として10年間の指導経験があり、多数の生徒を合格に導いてきました。編入学試験受験者の指導経験もあります。
過去問が入手しやすい大学からの解説になりますが、他大学の編入試験対策をする上でも参考になる部分はありますので、お付き合いください!
解答・解説は、記事のいちばん下にあります。
令和2年度 自然科学総合問題 問題Ⅳ
問題のダウンロードはこちらからお願いします↓
生命科学分野からの出題です。
講評
設問1
免疫に関する出題です。難易度としては、それほど難しくありません。
問1
高校生物でヘルパーT細胞について学習します。「ナイーブCD4陽性細胞」とは何かを指すかがわかっていれば、あとは高校レベルの知識でも解答作成が可能です。
問2
正常なヒトの体内には、自然免疫と獲得免疫からなる免疫系が備わっています。がん細胞は、生まれた時には体内になかったものですので、生体にとっては「異物」と認識されます。免疫系が発動し、がん細胞は破壊されます。
にも関わらず、ヒトの体内でがん細胞が増殖することができるのはなぜか。本問ではそれが問われています。「免疫寛容」という言葉からもイメージしやすいですが、がん細胞はヒトの免疫系から見逃してもらえるように様々な戦略をとります。
がん免疫に関しては、本庶佑先生がこの分野でノーベル医学生理学賞を受賞したことで一躍脚光を浴びました。「医学部に入ろうとしているのだから、このくらいのことは知っているよね?」という、大学からのメッセージとも感じとれる問題です。
設問2
加齢黄斑変性の治療に用いられる、VEGFを分子標的とした薬剤に関連した問題です。当然、受験生がA薬とB薬の詳細を知っている必要はありません。
細胞内シグナル伝達を含む薬理学の基礎が問われています。
問1
血管内皮増殖因子の働きを問う、知識問題です。名称からも作用をある程度想像することはできますが、3つ述べよとのことですので、きちんと学習しておく必要があります。
問2
薬理作用の違いを答えさせる問題ですが、問題文中に「Fab」「Fc領域」といった言葉がありますので、抗体の構造を考えて解答してください、ということです。
問3
薬物動態の違いですので、各薬が体内に取り込まれた後、どのように移動してどのようになくなっていくかを説明します。
「分子量の違いによる」と書かれていますので、出題者の誘導に乗って解答します。
試験対策にオススメの教材
高校生物の学習については、『科目別勉強法〜生物(生命科学)』を参照してください。
がんに関しては、免疫学・薬理学の基礎と合わせて問題を作りやすいテーマです。また、体内の特定分子を標的とした抗体製剤は、腫瘍分野に限らず、膠原病や神経疾患などの治療薬としても続々登場しており、今後も免疫学の基礎とからめた出題は続くでしょう。
メディアで取り上げられるようなものは特に出題の対象となりやすいですので、アンテナを張り巡らせておきましょう!
対策に関してですが、免疫学や薬理学の分厚い教科書を買うべきではありません。いきなり読んでもわからないし、時間を無駄にする可能性が高いです。できれば短時間で効率よくポイントをおさえておきたいものです。
そこで、こちらの本をオススメします!
前回の記事で紹介しました『からだがみえる』と同じく、メディックメディアの書籍です。
本書の特徴は、
- イラストが豊富で直感的に理解しやすい
- 文に硬さがなく、頭に入りやすい
- 医師以外の医療従事者にわかるように記載されている
- 医学生が編集に参加している
です。一般の人が読んでも十分わかるように書かれており、頭に残りやすいです。医学書としては安いし、医学部に入ってからも使えます。まだ発売されて時間がたっておらず、当面は買い替えの必要もないので、コスパは非常によいです。
今回の出題と関連した、本庶佑先生の業績に関しても触れられており、編入試験対策にも十分役立つ内容です。限られた時間でポイントをおさえた勉強をするには、うってつけの1冊と言えるでしょう。
まとめ
島根大学の令和2年度医学部編入試験、自然科学総合問題の問題Ⅳを解説しました。
高校生物の学習で免疫の基礎をかためたら、オススメ教材も使って、効率の良い対策を行いましょう!
解答・解説
最後に、解答・解説です。
参考文献にあたりながら、時間をかけて丁寧に作成しました。解答作成上のポイントも記載してあります。
無断転載を防ぐため、有料コンテンツとします。
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