まず野菜から、ごはん・パンは最後

健康を医学する

 こんにちは、m_yossieです。

 独学で医学部再受験を頑張っている人を応援するブログとして『医師への道』を立ち上げました。医師という職業は体力を要求されますので、自分の健康に対する配慮も大事になってきます。「健康とは何なのか?」という問いは、医師だけでなく、誰にとっても重要です。

 健康に関する様々な医学トピックを、一般の人にもできるだけ分かりやすく解説します。

 私は医者の家系に生まれた訳ではなく、母子家庭育ち、母は高卒です。高校生の頃から医学部に憧れていましたが、2浪しても合格できず、基礎研究の道に進み、医師の夢からは遠ざかっていました。

 しかし、30を前に一念発起して医学部再受験の勉強を始め、独学で国立大学医学部の編入試験に合格しました。現在、内科医として日々臨床を行っています。

 また、医学部専門予備校で講師として10年間の指導経験があり、多数の生徒を合格に導いてきました。編入学試験受験者の指導経験もあります。

 生活習慣病を改善・予防するには、適切なエネルギー量、糖質・脂質・タンパク質のバランスをとることが大事だということは、一般によく言われていることです。

 ところが、何をどれだけ食べるかだけでなく、どの順番で食べるかによってもホルモンの分泌が変動して食後の血糖値に影響を与えることが明らかになってきました。

 本記事では、

  • 食後の高血糖のどこがよくないのか?
  • 食後の高血糖を抑えるには、どのような順番で食べればよいのか?

を、文献を元に解説します。

食後高血糖は動脈硬化につながる!

糖質と食物繊維

 「炭水化物」という言葉をよく耳にしますが、炭水化物=糖質+食物繊維 という関係です。糖質はヒトの体内で消化酵素による消化・吸収が行われますが、食物繊維は消化されません。

糖質

 食物に含まれる糖質は単糖類と呼ばれる基本単位にまで分解されますが、その大部分はブドウ糖です。ブドウ糖は重要な体内のエネルギー源であり、血液中にはおよそ0.1%の濃度で含まれています。1日に必要なブドウ糖の量は約100gであり、十分な糖の供給がないと肝臓は筋肉や脂肪組織に含まれる物質を利用して糖新生を行い、血液中の糖を絶やさないようにします(高校生物でもっと詳しく学習します)。

食物繊維

 食物繊維には水溶性のものと不溶性のものがあります。

  • 水溶性食物繊維:ペクチン(果物、野菜)、アルギン酸(海藻)、グルコマンナン(こんにゃく)
  • 不溶性食物繊維:セルロース、ヘミセルロース、リグニン(野菜、未精製の穀物)

 水溶性食物繊維には特有の粘り気があり、小腸内で栄養分を包み込んで体内への吸収を緩やかにする効果があるため、食後の急な血糖上昇を抑えることができます。また、腸内細菌のエネルギー源であり、乳酸菌のような善玉菌を増やします。善玉菌の活動で短鎖脂肪酸が増えて腸内環境が酸性に保たれ、病原菌の増殖を抑制する効果もあります。

 不溶性食物繊維は、消化管内に取り込まれると水分を吸収して膨らみ、腸壁を刺激して腸の動きを促します。また、過剰な糖や油脂の排出を促進する効果もあり、肥満・便秘の改善に貢献します。

 食物繊維の目標摂取量は、成人男性で20g/日以上、女性で18g/日以上とされています。食物繊維の摂取量が少ないと、心筋梗塞や糖尿病、高血圧、脂質異常といった病気のリスクが上がることが知られています。

食後高血糖は動脈硬化を促進する

 血糖が高い状態が続くと、血管が傷つきます。

 食後高血糖は重要な動脈硬化促進因子であり、血管を構成する細胞である血管内皮細胞を障害したり炎症を引き起こしたりします。一方、これまでの研究によると、血糖の日内変動が大きくなると動脈硬化が促進されることが明らかにされています。低血糖により心血管疾患発症や死亡のリスクが増大するとの報告があります。

 食後を含めて1日の血糖変動幅をできるだけ小さくするような食事のしかたが大事だということです。

極端な糖質制限はNG!

 糖質を1日50g以下とするような極端な糖質制限は体内でケトン体を生じ(飢餓状態と同じです)、毛とアシドーシスという状態を引き起こし、命に関わります。

 また、糖質を極度に制限するとLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を増やし、心血管疾患のリスクが上昇することが知られています。

野菜から食べましょう!

 参考文献に示した論文では、

  1. 最初に野菜を5分かけてよく噛んで食べる
  2. タンパク質のおかずを5分かけて食べる
  3. 最後に残ったおかずと炭水化物を5分かけて食べる

というやり方を推奨しています。野菜は加熱したものでもよく、海藻、きのこ類も最初に食べます。

 野菜から先に食べた場合と、炭水化物から先に食べた場合では、食後血糖値、1日の血糖変動が20〜30%抑制されるという結果でした。重要なことは、糖尿病患者だけでなく、健康な人でも同じ効果が確認されたという点です。また、糖尿病患者でも必要なインスリン注射量を30%減らすことができていました。

 この食事療法を長く続けることで、野菜の摂取量が増え、よく噛むことで満腹中枢が刺激されて炭水化物の摂取量が減るという効果もありました。

全粒粉パンがオススメです

 「食べる順番」の重要性を知ったのは、産業医の研修会に出席したことがきっかけでした。私も、今回紹介した食事法を実践しています。

 炭水化物をとる際にも、できれば体によいものをとりたいですよね。私からのオススメは全粒粉パンです。

 いつも朝食の最後にトーストして食べています。全粒粉と聞くと、硬い、美味しくないと思う人もいるかもしれませんが、ここで紹介しているものは本当に美味しく、朝からサクサク食べられます。また、不溶性食物繊維が多く含まれているので、便秘の人にもよいです。

 定期便にするとさらにお得に購入できますので、オススメです!

 こちらはふるさと納税で手に入る無塩の全粒粉パンです↓


まとめ

 同じものを食べるとしても食べる順番を変えるだけでよいのであれば、簡単に実践できますね。特に、健康診断で血糖値が高いと言われる人には、ぜひ試してもらいたいです。

「まずは野菜から、最後に炭水化物」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今後も、健康に良い食事や習慣などについて発信していきます!

参考文献

  1. 今井佐恵子ら 食事療法のエビデンスー食べる順番の血糖上昇抑制効果 総合リハビリテーション44(5):389-394, 2016

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